
写真の小史:ダゲレオタイプからスマートフォンへ
写真が生まれる前、肖像画を注文する費用を払えない家庭は少なくありませんでした。写真が普及すると、より多くの人が自分や家族の姿を残せるようになりました。
ダゲレオタイプからスマートフォンまで、撮影の道具が変わるたびに、写真の使い方や残し方も変わってきました。

初期の写真
1826年、ジョセフ・ニセフォール・ニエプスはフランスのブルゴーニュで窓からの景色を撮影しました。長い露光時間を要した写真で、現在では細部を見分けるのが難しくなっています。
1839年に登場したダゲレオタイプは、磨いた銀の表面に像を作る方法でした。複製用のネガはなく、写真は一枚限り。初期の肖像撮影では数分間じっとしている必要があり、頭を支える器具を使うこともありました。
長い露光時間と、肖像画から受け継いだ改まった作法。その両方が、初期の写真に真剣な表情が多い理由です。家族にとって、唯一の肖像写真になる場合もありました。

亡くなった人をしのぶ写真
19世紀には、亡くなった家族の写真を撮ることもありました。生前に撮影する機会がなかった子どもなら、それが唯一の写真になることもあります。
眠っているように寝かされた姿や、親に抱かれた姿は、今見るとつらく感じるかもしれません。当時の家族にとっては、手元に残せる大切な形見でした。
家族の記録から歴史の記録へ
撮影の費用が下がると、労働者や移民など、肖像画を注文することが少なかった人々も写真を残せるようになりました。
南北戦争、大恐慌、強制収容所の解放、ベトナム戦争の写真は、遠くで起きている出来事を伝えました。硫黄島での国旗掲揚、ナパーム弾から逃れる少女、戦車の前に立つ男性など、広く記憶されている写真もあります。撮影者が選んだ範囲によって、見る人に伝わる内容は変わります。
一方、写真の加工も古くから行われてきました。19世紀の心霊写真や、スターリンの政敵を消した公式写真はその例です。BackInTimeではC2PAコンテンツ認証情報を使い、修復の処理履歴を記録しています。

一本のフィルムで撮れる枚数
ジョージ・イーストマンが1888年に発売したコダックのカメラは、暗室の知識がない人にも撮影を広めました。
後に普及した35mmフィルムは、一般に24枚撮りか36枚撮り。フィルム代、現像代、プリント代がかかり、仕上がりを見るまで数日から数週間待つこともありました。
家族を並べ、光を確かめ、「まばたきしないで」と声をかける。それでもぶれたり、誰かが画面から切れたりします。現像から戻った封筒には、撮ったことを忘れていた一枚が入っていることもありました。
Kodachromeの鮮やかな青やFuji Superiaの粒状感など、フィルムの特性も家族のアルバムに残っています。

いつもそばにあるカメラ
スマートフォンでは、撮った写真をすぐに送れます。写真は保存するものに加え、日々のやり取りにも使われるようになりました。
フィルムの枚数を気にせず撮れる一方、選別は後回しになりがちです。家族写真の横に、スクリーンショットや重複した写真がたまっていきます。
紙のアルバムでは、家族の誰かが写真を選び、順番を決め、説明を書きました。スマートフォンの「思い出」機能は自動で写真を選びますが、家族が大切に思う場面と一致するとは限りません。
カメラが手元にあったおかげで残った場面もあります。子どもの最初の一歩、バスの窓から見た夕日、家族の食事中に撮った祖父母の姿。何気なく撮った写真が、大切な一枚になることもあります。

デジタル写真にも手入れが必要
プリントは箱の中で何十年も残ることがあります。デジタル写真にも継続的な管理が必要です。ドライブの故障、サービスの終了、パスワードが分からないアカウントなどで、写真を見られなくなることがあります。
写真をたくさん撮っても、将来の家族が見られるとは限りません。古いスマートフォンの写真も整理して残しておきましょう。
紙とデータの両方を残す
古いプリントには色あせ、ひび割れ、黄ばみが生じます。デジタルファイルは故障や破損、アカウントに入れなくなることで失われます。
必要な手入れは違っても、どちらにも他では分からない人や場所の情報が写っているかもしれません。

裏面もスキャンする
BackInTimeは、傷んだ写真を見やすくするお手伝いをします。修復する際は、紙の原本も残してください。
裏面には日付、名前、写真館の印、家族の書き込みがあることがあります。両面をスキャンすれば、写真だけでは分からない情報も一緒に保存できます。
